膨大な情報からニーズを満たす「たった一つの答え」を見つけ出すのは、困難な作業です。インターネットの普及によって世界中の情報に自由にアクセスできるようになりましたが、その便利さと引き換えに、適切な情報を探す難易度は上がっているかもしれません。
そんな現代人の悩みを解決する一つの方法が、近年目覚ましい活躍を見せる人工知能(AI)です。
近年、さまざまな領域で「探しもの」にAIが活用されるようになりました。医療分野では、難病・奇病の特定や新薬開発のためのゲノム解析などにAIが活用されています。また、大量のビジネス文書の中から求めるものを瞬時に取り出したり、金融資産運用のための最適なポートフォリオを組み立てたりする際にも、AI技術が応用されています。
2010年代に入ってディープラーニング(深層学習)の技術が普及し始めてからは、その動きが更に加速しました。
膨大な情報からニーズを満たす「たった一つの答え」を見つけ出すのは、困難な作業です。インターネットの普及によって世界中の情報に自由にアクセスできるようになりましたが、その便利さと引き換えに、適切な情報を探す難易度は上がっているかもしれません。
そんな現代人の悩みを解決する一つの方法が、近年目覚ましい活躍を見せる人工知能(AI)です。
近年、さまざまな領域で「探しもの」にAIが活用されるようになりました。医療分野では、難病・奇病の特定や新薬開発のためのゲノム解析などにAIが活用されています。また、大量のビジネス文書の中から求めるものを瞬時に取り出したり、金融資産運用のための最適なポートフォリオを組み立てたりする際にも、AI技術が応用されています。
2010年代に入ってディープラーニング(深層学習)の技術が普及し始めてからは、その動きが更に加速しました。
Alex da Kid x Watson
AIの活用はビジネスだけでなく、アートの領域においても広がりを見せつつあります。2016年、米国在住の音楽プロデューサー・Alex da Kid氏(以下、Alex)は、IBM Watson(以下、Watson)とタッグを組んで曲作りに取り組みました。
Watsonはインターネット上の情報を収集・分析して魅力的なテーマと、過去のヒットソングのパターンを分析して時代の流れにマッチする歌詞やメロディーを抽出。これらをもとにインスピレーションを膨らませて編み出された新曲「Not Easy」は、発売後間もなく大きな反響を呼びました。
Alexは過去にいくつものプラチナヒットを飛ばし、2011年にはグラミー賞も受賞している有能なアーティストです。彼は普段、人との会話をインスピレーションに作曲することが多いそうですが、「Not Easy」の曲作りでは人間ではなくAIのWatsonを強力なパートナーとして、「現代の人々が真に求める音楽」という一見漠然としたニーズに対する答えを導き出しました。
▼関連記事:
・Watsonが遂に音楽界に進出「Alex Da Kid × Watson」の新たな挑戦
新曲「Go」でもWatsonとコラボレーション
そして2017年、AlexとWatsonのタッグはSpotifyという強力なパートナーを得て、新たなチャレンジに乗り出しました。それが「Spotifyを利用してアーティストを探す」という刺激的な試みです。
Alexは女性シンガーH.E.R.と共に新曲「Go」の曲作りを進める中で、バックコーラスを担うシンガーがもう一人必要だということに気づきました。Alexがシンガーに求めたのは、ロマンティックで、パワフルで、人の心を揺さぶる力があり、そして正直であること。
Alexの要望を把握したWatsonは、Spotifyに登録されている250万を超えるアーティストのデータを分析。ピックアップされたアーティストがオンラインでどのように自己表現しているかを調査し、最終的に選ばれたのがRapsodyという女性アーティストです。Rapsodyは米国ノースカロライナ州生まれのヒップホップ歌手で、力のある歌声に独特の魅力があります。Alexの新曲「Go」はソウルフルな曲で、彼女の歌声はまさにAlexの求めるイメージと合致したものでした。
「IBM Watsonの存在なくして、この出会いは実現し得なかった。とても刺激的な経験だった」――。Rapsodyは夢見るような瞳に隠しきれない興奮の色を浮かべてそう語っています。
心の中に浮かぶ漠然としたイメージから「たった一つの答え」を見つけるために、AIがよきアシスタントとして導いてくれる。AlexとWatson、そしてSpotifyのコラボレーションで実現したこの小さな奇跡は、人とAIが手を取り合って進む未来の一つの形だと言えるのではないでしょうか。