シームレスがカギ? 生体認証に見るミレニアルのセキュリティー観に迫る

私たちの生活は、もはやインターネットなしでは成り立ちません。娯楽、ショッピング、日々のコミュニケーションから金融・ビジネスまで、ありとあらゆるサービスがオンラインで提供され、多くの人がこれらを日常的に利用しています。

こうした中で課題となっているのが、オンラインにおける本人証明――すなわち「認証」に関する問題です。データ侵害による個人情報の流出やSNSの「なりすまし」などのトラブルは跡を絶たず、利用者1人ひとりが「認証」について本質的な意識改革を迫られています。

利便性よりもセキュリティー

IBMが2018年1月に実施した「IDの未来」という調査で、人々がアプリケーションやデバイスにログインする際に、利便性よりセキュリティーを重視していることが明らかになりました。

特に銀行アプリや投資アプリ、予算管理アプリといった金融系のサービスについてその傾向が高く、カテゴリー平均で70%ものユーザーがセキュリティーを最優先事項として位置づけています。

また、金融系に比べて若干割合は下がるものの、オンライン市場やワークプレイスアプリ、Eメールなどでもセキュリティーが最優先事項として位置づけられました。この結果は、従来の「(アプリケーションは)利便性こそが第一である」という常識を大きく覆すもので、セキュリティーに対する人々の関心の高まりが見受けられます。

近年、旧来のパスワード方式に替わって指紋認証、網膜認証、顔認証といった、いわゆる「生体認証」の技術が積極的にデバイスに採用されるようになっています。生体認証について67%が「既に使い慣れている」と答えたとともに、87%が「今後使い慣れていくだろう」と回答していることから、クラッキングされやすいパスワード方式に比べて「生体認証の方が安全である」と認識している人が多い現状が、調査結果からも伺えます。

世代で異なる「認証」への意識

また、認証に対する意識が世代によって異なることも、この調査で明らかになりました。たとえば、ミレニアル世代(※1)はセキュリティーにパスワードマネージャーや生体認証、多要素認証を選ぶ傾向が見られ、旧来のパスワード方式を信頼していないことがわかります。

一方で、高齢の世代はパスワード方式でのセキュリティー担保を行っています。55歳以上の世代では特殊文字や数字、文字を組み合わせた複雑なパスワードを作成する人の割合が49%に上りましたが、ミレニアル世代では42%に留まりました。これは裏返せば若年世代が新しく、信頼のおけるアカウント保護方法に目を向けていると言えるでしょう。

※1:主に1980年代から2000年代初頭までに生まれた人を指すが、2000年代に成人する世代を指して使われる場合もある

また、全世代でセキュリティーを重視する傾向があるものの、若年層は利便性を優先する傾向がもっとも強いことも分かっていて、24歳未満の成人の半数近く(47%)がセキュアな認証形態よりも素早いサインイン体験を優先すると答えています。こうした傾向も、彼らがパスワード方式よりも生体認証を選ぶ理由の一つとなっているのかもしれません。

その一方で、特に高齢世代において、新しい認証形態に対する懸念が強く残っていることも明らかになっています。今後はこうした世代間の姿勢の違いを理解した上でセキュリティーに対する対策を講じていくことが、ますます重要になっていくことでしょう。

主要認証要素としてのモバイル・デバイスの活用、生体認証やトークンを用いたアプローチといった新しい手法を積極的に取り入れていくと同時に、そうした形態に懸念を覚える層にも対応するため、ユーザーが複数の認証オプションから選択できるIDプラットフォームを採用することが求められています。

photo:Getty Images