Ad CouncilがGE、IBMなど複数の企業と行うキャンペーン「She Can STEM」

「STEM」という言葉を聞いたことはありますか? STEMはScience(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字を並べたもので、これらの教育分野を総称してSTEM教育と呼んでいます。

近年になり、世界各地でSTEM教育の重要性が再認識されており、IBM、Google、Microsoftなどのテクノロジー企業が中心となって、10~12歳前後の少女とSTEMをつなぐ意欲的な取り組みが始まりました。

なぜ、いまSTEM教育なのか?

科学技術の進化や情報技術の発展により、人類を取り巻く環境は大きく変わりました。AIやロボットの実用化、宇宙開発に関する取り組みの活発化などを受け、新たな産業分野が次々と開拓され始めています。

このような背景もあり、国家が経済的に成長を遂げていくために重要な鍵を握ると考えられているのが、科学・技術・工学・数学などに長けた「STEMな人材」です。「STEM教育」という言葉が初めに使われ始めたアメリカのみならず、現在では、世界中の多くの国がSTEM教育に注目しています。

Women in STEM 

アメリカのSTEM教育政策のなかでも、昨今とりわけ重視されているのが女子学生に対するSTEM教育の強化です。

Microsoftが行った調査では、女の子は11歳前後でSTEM系科目に関して関心を示し始めるものの、15歳頃を境として次第に興味を失ってしまうという結果が明らかになりました。その原因はさまざまで、「女の子は理数系の科目が苦手である」という根強い固定観念もその一つでしょうし、STEM分野で活躍する女性がまだまだ少ないことも影響しているのかもしれません。

She Can STEM, So Can You.

このような背景のもと、Ad Council(米国の公共広告の協議会)はGE、Google、IBM、Microsoft、ベライゾン・コミュニケーションズといったテクノロジー企業と共同で「She Can STEM」と題したキャンペーンを開始しました。

このキャンペーンの主な趣旨は、STEM系科目に関心を抱き始める10~12歳前後の女子学生を対象に、ロールモデルを示しながら、STEMに親しむチャンスを広げようというものです。She Can STEMのWebサイトには、ボーイングの構造解析技師であるティエラ・フレッチャー氏、アドラー・プラネタリウム(シカゴにある西半球最古の天文ミュージアム)に勤務する天文学者のルシアンヌ・ワルコウィッチ氏など、STEM分野で活躍する女性と女子生徒とのインタビュー動画とともに、彼女たちのソーシャル・メディアアカウントへのリンクが掲載されています。

ティエラ・フレッチャー氏はロケット部品の設計や開発に関わるエンジニアで、動画では子どもたちをGEの工場内へ案内し、人類を火星へと運ぶ世界初のロケットを披露しています。また、「将来、宇宙飛行士になりたい人は?」という彼女の問いかけに、はにかみつつ手を挙げる女の子たちの表情がとても印象的です。

ルシアンヌ・ワルコウィッチ氏は少女たちをプラネタリウムに招き、広大な宇宙のひとかけらを披露しています。「ただ星に魅せられていた少女だった私が今、こうして宇宙の秘密を探ることを仕事としている――この中に科学者になりたい子はいる?」と彼女が聞くと、何人かの女の子が「はい」と答えています。

さらに、IBMからは社内でもっとも優秀なエンジニアの一人であり、400件にのぼる特許を持つ発明家でもあるリサ・シーキャット・デルーカ氏が登場。最新のテクノロジーを学びながら新たな発明を模索する楽しさを、少女に向けて生き生きと語っています。

幼いころにSTEM分野で活躍する女性との接点を持つことができた女子学生は、自身も同じ分野へと進む傾向があるのだとか。日本でも女性の理系人材“リケジョ”が不足していますから、「She Can STEM」の活動を通じて、未来の世界を支えるクールなSTEM女性のロールモデルが、一人でも多く生まれることを願ってやみません。

 

photo:Getty Images