今年後半には利用可能に! 「革命的気象予報」で何が変わる?

天気は、私たちの生活と密接に関わっています。
たとえば朝、出社前にゆっくりニュースをみる余裕はないけれど、とりあえず天気予報だけはチェックして出かけるという人は少なくないでしょう。帰宅時間に雨の予報だから傘を持って出るべきだとか、夜から大雪になるので早めに帰宅しようとか――その日の行動が天気の影響を受けるのは日常茶飯事です。

同様にビジネスシーンにおいても、天気はもちろん、さらに広範囲で長期間の大気状態である「気象」は、業績へ多大な影響を与える外的要因になりえます。
農業や漁業が猛暑や豪雨などの気象条件に左右されるのは想像に難くありませんが、身近なところでは小売業での客足に影響するでしょうし、公益企業は停電などに備えた人員配備を行う必要があります。また、航空会社は、大気の状態が悪ければフライトを運休・遅延せざるをえなくなり、保険会社は、自然災害の可能性が高くなればその後の対応を検討しておくべきでしょう。

世界中に最も正確な気象予報を提供するGRAF

気象によるリスクに備えたり、回避したりするために必要な気象情報を得る強力な武器が、気象予報システムです。特に近年は、猛暑や極寒、激しい雷雨など局所的な異常気象が頻発するようになり、世界各地の正確な気象予報に対するニーズはより高まっています。

「アイ・ビー・エム(以下、IBM)」とその子会社のThe Weather Companyが2019年1月に発表した新たな気象予報システムは、このような期待に十分に応えるものだといえるでしょう。
IBMグローバル高解像度大気予報システム(GRAF)と名付けられたこのシステムでは、世界中の大部分の予測解像度が既存モデルと比較して約200%改善されます。日本および米国、西ヨーロッパなど限られた地域以外での気象予測が12~15km四方で行われていたこれまでに対し、GRAFでは3km四方と高解像度化され、雷雨や干ばつのような局所的事象であっても世界規模で予測できるようになります。

GRAFを支える最新のテクノロジー

GRAFは、これまで利用していなかった飛行中の航空機が収集するデータや、世界中に設置された何百万もの気象観測装置のデータを気象予測に使用します。また、規約などが整えば、スマートフォンの気圧センサーが取得したデータもGRAFで活用することができるため、世界各地の人々が自分のスマートフォンを通じて気象予報システムに貢献する可能性もあるのです。

このようにして集められるデータは膨大な量となり、現存する多くのスーパーコンピューターをもってしても容易に処理することは困難です。けれど、GRAFは先進的なIBM POWER9プロセッサー(※)を使用することでこれを可能としました。

GRAFのシステムは、2019年後半には世界中で利用可能となる予定です。アプリやサイトを通じて、世界中の人や企業が、より正確な気象予報へアクセスできるようになるのです。
GRAFが、ビジネスに、そして個人の生活にもたらす恩恵は計り知れないものとなるでしょう。人類の最大の脅威ともいえる気象の行方を正確に「読む」力を手に入れることで、私たちはこれまでよりもずっと良い形で自然と共存していくことができるようになるのかもしれません。

※ IBM POWER9プロセッサーは、旧世代製品(IBM POWER8)と比較して最大1.5倍ほど処理能力が向上しています。2018年に世界最速のスーパーコンピューターと発表された米国オークリッジ国立研究所のSummit、および2位となった米国エネルギー省のSierraにも、このIBM POWER9が使われています。

photo:Getty Images