進化する量子コンピューティングが、あなたのビジネスを変える

AI、IoT、ブロックチェーン……コンピューターの進歩は世界を変えるソリューションを次々と生み出し、さまざまな分野で多くの功績を挙げています。昨今、さらに大きく世界を変えると期待される重要なキーワードに、世界が注目しているのをご存知でしょうか?

それが、「量子コンピューティング」です。

従来型のコンピューターが解けない課題を解決

コンピューターの急速な進歩は、さまざまな物事を解決してきましたが、その一方で、困難が伴う課題も浮き彫りにしました。たとえば、与えられた条件に従って複数の要素の中から最適な組み合わせを選ぶ「組み合わせ最適化問題」です。有名な「巡回セールスマン問題」など、指数関数的に拡大する問題を解決するためには、従来型のコンピューターで対処するにはあまりにも複雑なのです。

量子コンピューティング・システムは、このような、従来型のシステムでは対処しきれない複雑な課題に将来的に取り組むことを想定して設計されています。財務データをモデル化する新たな方法の発見、新薬の開発、効率的な物流の実現に向けた輸送の最適化といった課題などがあげられるでしょう。

世界初の商用量子コンピューティング統合システム「IBM Q System One」

「アイ・ビー・エム(以下、IBM)」は、2019年1月に開催されたCES(Consumer Electronics Show)2019において、世界初の汎用近似量子コンピューティング統合システム「IBM Q System One」を発表しました。

「IBM Q System One」は、2016年クラウド上に無料で一般公開され、10万人を超えるユーザーが670万回以上の実験を行なってきた量子コンピューティング・システム「IBM Q Experience」と、企業や学術機関から成るプラットフォーム「IBM Q Network」によって、汎用量子コンピューティングを一般公開する業界初の取り組み「IBM Q」の進化を示すシステムです。

「IBM Q System One」の開発には、IBMの科学者やシステムエンジニアはもちろん、超一流の工業デザイナーやアーキテクト、メーカーなどが携わりました。これらの協力者が構築した今回のシステムは、厚さ約1.3cmのガラスを使った全辺約2.7mのケースに囲まれており、高気密環境で何千ものコンポーネントを一元管理しています。

それによって、最も困難な課題のひとつである、量子ビットの質を継続的に維持することを実現しました。量子コンピューティングで使用される「量子ビット」は、相互接続された機器の振動や温度変動、電磁波による環境雑音などの影響を受け、その特性を瞬く間に失ってしまいます。その解決は、量子コンピューティングの進化における節目となるものです。

量子コンピューティングが未来のビジネスを変える日も近い?

また同時に、2019年中にはニューヨーク州ポキプシーに、「IBM Q quantum Computation Center」の設立も予定されています。センター内には量子コンピューティング・システムがいくつか配置され、このシステムには、業界をリードするFortune500の企業やスタートアップ、学術研究機関などからなる世界規模のプラットフォーム「IBM Q Network」のメンバーがクラウド経由でアクセスできるようになります。量子コンピューティングの進化、ビジネスや科学の領域での活用を目指す予定です。

IBMのハイブリッド・クラウド担当シニア・バイス・プレジデントであり、IBM基礎研究所のディレクターでもあるアーヴィン・クリシュナ氏は、次のように述べています。
「IBM Q System Oneは、量子コンピューティングの商用化に向けた大きな一歩です。ビジネスや科学向けの実用的な量子アプリケーションを開発する取り組みの一環として、また研究所の壁を越えて研究に取り組む上で、この最新システムが重要になります」

今のところ、量子コンピューティング・システムは、我々にとって身近な存在ではありません。しかし、従来のコンピューターでは解くことが難しい課題が量子コンピューテングによって解決され、あなたのビジネスが大きな変化を遂げる日が訪れるのは、そう遠い日のことではなさそうです。